キミを奪いたい



石のように硬直してしまった私を無言で待ち続ける男の子と、恐怖で目をつむってしまった私。


どちらが先に折れるかなんて、当然決まってる。





「……なぁ、もしかしてあんた、俺のファン?」






────そう。当然彼の方、なんだけど、まさかそんな言葉が降ってくるなんて思ってもいなくて、



「……へ?」



そんな素っ頓狂な声とともに、思わず顔を上げてしまった。





「なぁ、絶対そうだろ?あんたどっからどー見ても敵には見えねーし、だとしたら、俺のファンしかなくね?」

「………」

「いいよいいよ、正直に言って。怒んねーからさ。ほら、あれだろ?繁華街で俺見かけて思わず着いてきちゃった系だろ?」

「っ」

「あ、図星?ほらやっぱそーだと思ったー」





私を指差して二ヒヒと嬉しそうに笑う男の子に“違います!”なんて否定する勇気はなく。

かと言って首を縦に振ることも出来なくて、なんとかこの場から逃げようと頭をフル回転させた。

けど、それが最悪の事態を招いてしまうなんて思ってもいなくて。





「っていうかさ、なんでマスクなんかしてんの?」

「あっ……!」