キミを奪いたい



どうしよう……あの人達、今からこのCLUBに入って行くんだよね?



さすがにこのCLUBに一人で入って行く勇気はない。



せっかくお兄ちゃんに嘘までついて尾行したのに何の収穫なしも無しに帰るなんて……



と、そう思った時、二人の女の子が私の横を早足で通り過ぎていった。




「ねぇ、本当に今日此処にZeusのリョウくんがいるの!?」

「らしいよ!さっきこのCLUBにいる子がSNSで呟いてたもん!」

「じゃあ間違いないね!うわー、生で見るのはじめてー」






“リョウ”


確かに今、“Zeusのリョウ”って聞こえた。





やっぱり男の子の電話の相手はリョウだったんだ……。




確信を得たおかげでもう少しここで粘る決心がついた。

今みたいにZeus関係の人からじゃなくても色々情報が得られるかもしれない。



よし、情報収集しよう!



そう意気込んで歩き出そうとしたときだった。




「──俺はここにいるけど?」




突然耳元で囁かれた声に、ビクッと肩が飛び跳ねた。