「あ、もうCLUBにいんの?りょーかーい。すぐ行くー」
間延びしたその声に聞き覚えはない。
けど、勘が働いた。
この声の主は、彼───リョウと繋がってるって。
そこからの行動は自分じゃないみたいだった。
マスクを押さえながら横目で声の主を確認して、前を歩いているお兄ちゃんに駆け寄っていく。
「お兄ちゃん!この近くに侑真たちがいるらしいから行ってくるね」
「……侑真たちが?行くのはいいけど送っていかなくてもいいの?」
お兄ちゃんは勘が良い。だから、嘘がバレないように早めに離れる必要がある。
「大丈夫だよ。本当にすぐそこだから。ご飯ごちそうさま。陽沙ちゃんもありがとう!」
ボロが出ないように急いでいるフリをして、笑顔でその場から駆け出す。
距離が遠ければリョウと関わりがある人の方へと走るんだけど、運が悪いことに彼らは私のすぐ傍にいる。だから、進行方向とは逆方向へと走った。


