キミを奪いたい


聞きたくなんかないのに、勝手に耳に入ってくるリョウの情報。



“アイツに食われてんのお前の女だけじゃねぇだろ?”

“なんもしなくても女が寄ってくんだもんな”



それを聞いただけで、リョウが不特定多数の女の人と遊んでいるのが分かる。




“──可愛いな、お前”

“あやの、好きだ”



思い出すのは、蕩けるような甘美な囁きと、胸の奥が甘く疼くほどの熱い眼差し。




……あの声を───あの眼差しを他の女の人にも向けてるの?

逢いたいって、好きだって、他の人にも言ってるの?




そんなの、嫌だ。

……けど、そんなこと言う資格が私にはないってことは解ってる。


頭では理解している───のに、心は理解してくれない。




“リョウ”って名前を聞いただけで、愛したあの人を思い出してしまう。

“リョウ”と心の中で呟くだけで、こんなにも胸が苦しくなる。




逢いたいって、
顔が見たいって、

私をその漆黒の瞳に映して欲しいって、そう思ってしまう。




───そんなこと思っても、もうどうすることも出来ないのに。