キミを奪いたい



ちょうど私の横を通り過ぎようとしたとき、彼らの会話の中に知った名前が上がった。

まさかこんなところでその名前を聞くなんて思ってもいなくて、思わず顔を上げてしまう。



……リョウって、もしかしてあの“リョウ”?


ううん。違うよね。そんな訳ない。

だって、“リョウ”なんて名前、よくある名前だもん。きっと同じ名前なだけ。


そうだよ。きっとそう。絶対に違う。


────…絶対に。




そう思いたいのに、現実は残酷すぎるほど残酷で。




「あーあ。アイツがZeusのトップじゃなきゃ潰せんのに」




男の口から放たれたその言葉の羅列に、心臓が鈍い音を立てた。





「はぁ?お前、マジで言ってんのかよ。アイツがZeusのトップじゃなくても無理だろ。お前が百人いても勝てねぇよ」

「確かにな。ま、相手が悪かったってことだ。どうせお前もあの女にマジだった訳じゃねぇだろ?」

「……まぁそうだけど。でも、アイツに寝取られたっていうのがムカツクんだよ!」