「もう、メイク崩れちゃったよ~!今日はお父さんとご飯なのに~」


かばんから鏡を取り出して自分の顔を確認すると、笑い泣きしすぎてアイシャドウもラインも取れちゃってる。



「帰ったら直さなきゃ」

「別にいいだろ、んなモン」

「良くないよ!リョウのお父さんとご飯行くんだよ!?ちゃんとしなきゃ!」

「一回ボロボロの姿見せてんだからいーだろ」

「やだ!それを思い出させないでよ~!」



リョウの一言で、あの日を思い出してしまい、死んでしまいそうなぐらい恥ずかしさでいっぱいになる。


リョウがリナさんに拉致られたあの日、リョウの言うとおり、私の姿はそれはもう泣きたくなるぐらいボロボロな姿だった。


地面に押さえつけられたせいで服は薄汚れていたし、泣き叫んだせいでメイクはぐちゃぐちゃ。


今思えば、よくあんな格好でお母さんの所へ行ったなって思う。


お父さんと会うのは二回目だったけど、あんなボロボロな姿で生意気な事を言ったなんて、思い出すだけで穴があったら入りたい気持ちでいっぱいだ。