「あやの」

「……ん?」


不意に呼ばれて顔を上げると、すぐ目の前にリョウの顔があって。

あ、と思った時にはもうキスをされていた。



「ちょ、リョウ!ここ外!」


唇は離れたものの、顔の近さは変わらなくて。

この先の展開が予測出来た私は慌てて唇を手でガードした。



「誰もいねぇよ」



そう言われて周囲を確認すると、確かに人の気配はなっk。

けど、外には変わりはないわけで。


いつ人が来るか分かんないし、もし見られたら……



「お前を手に入れたらするって言っただろ」

「……あ」


そう言えばそんな事を言ってたような……



「で、でも……」

「────もう手遅れだ。黙って受け入れとけ」

「っ、」




そう言うや否や後頭部を引き寄せられ、キスされる。


それはさっきの触れるだけのキスとは違い、リョウを感じられるキスで。


「っ、リョウ……」



一度触れてしまったら最後、離れようだなんて感情は一切芽生えなかった。


ただリョウだけを感じて、今ある幸せに浸るだけ。




本当に幸せだと思った。


こんな風にリョウと一緒にいられる未来があるなんて、別れた時には想像すらしていなかったから。


────もう、絶対に離れない。