「親父……」

「お父、さん……」




嬉しかった。


私達を認めてくれてる事も、

これから見守ってくれると言ってくれたことも、


リョウの事を、大事だと思ってくれている事も。


嬉しくて、嬉しくて、涙が溢れて止まらない。






「……っ、ぁ……」

「母さん!?」


お母さんの頭が少しお父さんの方へと傾いて、右手がゆっくりと浮いた。

お父さんはその右手をすくい上げ、自分の口元へと持っていく。


それはまるで手の甲にキスをしているようで……



こんな状況にも関わらず、あぁ、素敵だなと思ってしまった。



お父さんに触れたい、触れて欲しいと思ったお母さんの気持ち。

それを汲み取ってお母さんに触れたお父さん気持ち。


何も言葉を交わしていないのに、互いの気持ちが通じ合っていて。


こんなの、心が揺さぶられない訳がない。