今の私には背後を確認する余裕なんてないけれど、しなきゃどれだけ距離が空いているのか分からないから、とりあえず全力疾走しながら振り返ってみた。
「ひぇっ!」
やっぱり見なきゃよかった……!
振り返ってすぐに後悔した。
だって、真後ろに居るのはいかにもそっち系の男の人たちで。
それはそれは恐ろしい……というより、必死な形相で私を追いかけてきていた。
あの表情から察するにあっちはあっちで切羽詰まってそうだけど、だからと言って捕まってあげるわけにもいかない。
「っ、きゃあ……!」
そうは思っていても、あっちは男、こっちは女。悲しいことに男女のリーチの長さというものがあって。
どんなに頑張ったところで、追いつかれるのは必然なわけで……
「いっ……!!」
瑠衣まであと少しというところで髪の毛を掴まれてしまい、足が止まった。
いったっ!
こんな時だけど、なんで髪の毛なの!?
そりゃなびいてて一番掴みやすかったんだろうけど、それでも走ってて髪の毛を掴んだら思いっきり突っ張ることぐらいは分かるはず。
「テメェ離せや!!」