「本当は、何もかも終わらせてから言うつもりだった」
何もかも……それって、さっき言ってた“片付く予定”のこと?
「それが今になったのは、あの女のせいだ。あの女のせいで先延ばしに出来なくなった」
……え?
「どういう……」
そう言うと、リョウは腕を解き、さっきと同じように私の頬に指先を添えた。
私を見下ろすその瞳は、何だか申し訳なさそうに見えて────
「……ナギサに聞いてすぐに電話した」
「電話?」
それっていつの?
「あの女に拉致された日」
「あ……」
あの日の……
そう言えば、リョウが繁華街から姿を消して気になってた時、マンションにナギサくんが来て、その数日後にリョウから電話が来たんだった。
あの時は婚約者の存在を知っただったせいでリョウからの電話には出たくなくて……
あの電話が……?
「あの日電話したのは、俺たちが会った“あの夜”に、あの女があの場にいた事を聞いたからだ」


