キミを奪いたい



リョウの言葉が信じられなかったとかじゃなくて、今まで色んなことがありすぎてすぐには受け止められなかっただけだ。


頭ではちゃんと理解していた。

リョウが私を手に入れたいと言ってくれたということは、私のことを好きでいてくれてるってことだって。


それでも、それは全部自分の都合のいい夢なんじゃないかって、リョウが緋月に来た時から心のどこかでそう思っていた。


だから今、“好きだ”ってハッキリ言ってくれたことがすごく嬉しかったんだ。


リョウと両想いなんだって分かって、嬉しかった。



「っ、」


けど、それを言葉で伝えることが今の私には難しくて。口を開けば嗚咽しか出そうにない。

それでも何とか否定したいから、必死に首を横に振って伝えた。



「……緋月から奪うと決めた時、二人きりになったら真っ先に言おうと決めていた」

「……」



“何を”なんて、聞かなくても分かる。

だって、さっき真っ先に言ってくれたから。


私がずっとずっと望んでいた、夢みたいな言葉を。