「…………え?」
思わず振り向いてしまうほど、その言葉が信じられなかった。
だって、このタイミングでそんなことを言われるなんて思ってもいなかったから。
「……」
どうしよう……頭が真っ白で何も考えられない。
ただ一つ理解しているのは、目の前にリョウがいることと、そのリョウが私に触れていること。
それを意識した途端、触れられている左頬が熱くなっていくのが分かった。
まるでそこに熱が集中しているみたいで……
「……あやの? なんで泣いてる」
「……え?」
泣いて、る……?
そう言われても実感はなくて。
リョウの指先がそっと頬をなぞった時、ようやく自分が泣いているのだと自覚した。
「や、やだ、なんで私泣いてるんだろう」
そう言いながら両手で涙を拭うけれど、なかなか止まってくれなくて。次々とこぼれ落ちる涙を何度も何度も必死に拭った。
「強く擦るな」
それを、リョウが両手で掴んで止めてくれる。
かと思ったら、その手をゆっくりと引き寄せられて、腕の中に閉じ込められてしまった。


