キミを奪いたい



後、悔……?



「しねーな。俺はアイツとは違う。

アイツと俺じゃ家に対しての重みも覚悟も違うが、もしアイツの立場だったとしても俺は愛してる女を手放したりはしない」



はっきりとそう言い切ったリョウの横顔にドキッと胸が高鳴った。

そして、同時に苦しくなった。


侑真が聞いた“後悔”の意味が分かったから。




リョウが“次期若頭”になろうと決めたのは、病気のお母さんのため。

お母さんを傷つけたお父さんと本妻を見返してやりたかったから。


“次期若頭”になるだなんて言葉では簡単に言えるけど、相当覚悟ないと無理だと思う。


リョウだって、少し前まではあの世界とは無縁の人間だった。


何の知識も人間関係もないのに、突然あの世界に足を踏み入れたんだ。きっと私には想像もつかないぐらい大変な思いをしてきたはず。


それなのにリョウは、今まで必死で積み上げてきたものを手放そうとしている。

もうすぐ手に届きそうな“次期若頭”という地位を、私を得るために捨てようとしている。


いくら私のためだと言っても、今までの苦労を考えるとそう簡単に手放せるものじゃない。


だから侑真は“後悔しないのか”と聞いたんだ。


一度手放してしまったら最後、もう二度と手に入らないから。