キミを奪いたい



「そっか……」


そうなんだ。

リョウとあの子は結婚しないんだ……



ホッと頬が緩んだのは無自覚だった。自然と安堵のため息が出ていた。

嬉しかったから。

あの子とリョウが結婚しないって知って、嬉しかった。





「ねぇ、一つ聞きたいんだけど」

「……なっちゃん?」



今まで静かに会話を聞いていたなっちゃんが初めてリョウに話しかけた。

その横顔は普段の優しいなっちゃんとは思えないほど硬い表情で。

少し、怖かった。




「縁を切るって簡単に言ってるけど、それって完全に切れるもんなの?本当にアンタの近くにいて安全なのかよ。

もし、少しでもあーちゃんに危険が付きまとうのなら、お前には渡せない」


「……なっちゃん」



なっちゃんはいつも私を心配してくれる。

私が落ち込んでいた時もずっと傍で寄り添ってくれた。

ううん。なっちゃんだけじゃない。みんな心配してくれている。


そんなみんなを裏切るなんて、私には出来ない。