キミを奪いたい




「お袋には高額な病院代を払う余裕なんてなかった。もちろん、学生の俺にもそんな余裕はない」

「……」

「働いたところで生活費の足しにもなんねーし」

「……」

「──そんな絶望的な中、アイツが目の前に現れた」



そこまで言って、リョウはふぅと小さくため息を吐き出した。

もしかしたら、当時の辛い気持ちがぶり返しているのかもしれない。



「俺が知らなかっただけで、今まで蓮見に金の援助をして貰っていたらしい。お袋は俺に知られたくなかったみたいだが、病気になって休職した以上俺に隠せないと思ったのか、あっさりと姿を現しやがった」



リョウの口調が荒くなって、表情も険しくなっていく。



「最初は何とも思わなかった。父親の実感なんてなかったし、金さえ払ってくれればそれでいいと思っていた」

「……」

「けど、あの女から真実を聞いたとき、アイツを心底軽蔑し、憎んだ」

「あの、女……?」



って、誰のこと?