キミを奪いたい




……え? 本妻の、子供じゃない……?


その言葉を聞いて思い出したのは、リョウのお母さんの優しい笑顔だった。

あのふんわりとした笑顔は、極道の世界には違和感でしかない。



「だから即縁を切れると?」

「……あぁ」

「そんな簡単にいくものなのか?」

「……いくも何も、元々俺は後継者ではない」

「……」

「後継者の座を奪おうとしているだけだ」

「……どういうことだ?」




断片的すぎて何が何やら分からなくて、緋月の幹部たちは互いに顔を見合わせて首を傾げていた。


そんな私たちに、さらに謎が襲ってくる。



「近々、祖父である頭(カシラ)が親父にその地位を譲ることになっている」

「……世代交代か」

「あぁ」



世代交代。

そういえば、婚約者である彼女もそのようなことを言っていた。


……そうだ。 リョウは……


「若頭になるために、この街を統一しようとしていた……」



彼女はそう言っていた。

街を統一してリョウが若頭になるんだと。

そして、その若頭であるリョウと結婚するんだと。


確かにそう言っていた。