「あの、」


リョウの方へと振り返り、そう言ったものの、何を言えばいいのか分からなくてすぐに口を噤んだ。



「あやの────」

「連れ戻してくれた事には感謝する。

けど、今後一切あやのには関わらないでくれ」

「ゆ、侑真、」



それだけ言って踵を返した侑真に、幹部たちも続いて歩き出した。


正面に向いて抱きかかえられていたせいでリョウがどんな顔をしているのか見えなくて。

肩越しに振り返れば、リョウは何か言いたげに唇を噛み締めていた。


私はそんなリョウから目が話すことが出来なくて、木々で見えなくなるまでその姿を見つめていた。










「リョウ……」

「────ナギサ、お前は“監視”の意味が分からねぇのか?」

「っ、それは、」

「わざと報告しなかったってことか」

「ち、違う!今回の件は知らされてなくて……!」

「随分信用されてねぇんだな。それともなんだ。あのクソ女の方が良くなったか?」

「……違う。……違う、けど、俺は……!俺は納得いかねぇんだよ!あの女がいなかったらリョウは……!」

「ナギサ」

「っ、」

「もう決定事項だ。────嫌なら離れろ」

「……っ、それが出来たら……それが出来たらこんなことしねぇよ……」