「び、ビックリした!」
リョウへ意識を持っていかれていた緋月幹部たちは、突然現れた車に過剰に反応した。
そんな幹部たちを煽るかのように傍へと横付けした車。
どこもかしこも真っ黒なその威圧感ある車体に、幹部たちは息を呑んだ。
唯一開いている助手席の窓には、黒スーツの男が嘘臭い笑顔を張りつけて佇んでいる。
一見優しそうに見えるその笑みだが、暴走族の世界を生きている侑真たちにはただの笑みには見えなかった。
この男は只者ではない。
誰もがそう思った。
一瞬怯んだその隙に、静かに車から降りてくる黒スーツの男。
その男は緋月の幹部には一瞥もくれず、リョウの元へと足を運んだ。
その背後では、もう用はないと言わんばかりに漆黒の車が去っていく。
「いかがされました?」
笑みを貼り付けたまま、まるでどこぞの貴族の執事のように問いかける。
リョウは慣れているのか、顔色一つ変えず、「出てくる」とだけ残してその場から去ろうとした。
────それを、男の一言が引き止めた。
「そうそう、今リナさんの所へ行ったらダメですよ?可愛らしいお客様がいらっしゃってましたから」


