「ここにはいないんだな?」
「いない。電話は誰から来た?」
「知らないヤツからだ。ここの住所だけ言って切れた」
「おい、侑真!」
普通に会話を始める侑真を見て、慌てて止めようとする瑠衣。
けれど、それを那智が止めた。
ここで揉めるとあやのの元へ行くのが遅れると判断したからだ。
それは侑真にも言えることで。
冷静になることがあやのへの近道だと解っていた。
「心当たりはあるか?」
侑真の問いに険しい表情で黙り込むリョウ。
「……ある」
けれどすぐに口を開き、一度目を閉じたあと力強い瞳で侑真を見据えた。
「あるのかよ!やっぱお前関係してんじゃねぇか!」
返事をしたのは侑真ではなく瑠衣で。
今にも掴みかかりそうな勢いでリョウに詰め寄っていく瑠衣に、那智と颯太が声をあげて止める。
けれど、実際に瑠衣を止めたのは颯太でも那智でもなく、
「一体何事ですか?」
不意に背後から現れた、一台の黒塗りの車だった。


