キミを奪いたい



出たのは女性だった。

この家にそぐわない落ち着いた声。
その声に幹部たちは安堵する。



「あの、そちらに“あやの”という女の子がお邪魔していないでしょうか」

『“あやの”さん、ですか……?』

「はい。こちらにいると伺ったので迎えに来たのですが……」

『えっと……、少々お待ちください』



女性にそう言われ、振り返る侑真。

幹部たちにも二人のやり取りが聞こえていて、不思議そうに首を傾げている。



「どういうことだ?声を聞く限り、知らなさそうな気がしたけど」

「だな。いないんじゃねぇの?」

「……住所は間違ってないはずだ」



彼れらの言うとおり、住所に間違いはなかった。

確かに男が告げた場所はこの場所だった。


ただ、あやのがここにいるかと言えば“否”だ。


ここにはあやのではなく“別の者”がいた。





「───なぜお前たちがここにいる」




ギィと門が軋んだかと思えば、出てきたのはさっきの女性ではなく別の人物で。



「は?」

「なんで……」



それは探し求めていたあやのではなく、




「────お前こそなんでここにいる」




“Zeus”のトップ、リョウだった。