キミを奪いたい

***



幹部たちは目の前に立ち塞がる門に唖然とした。



「……颯太、ほんとにここにあやのがいる訳?」



瑠衣が怖気付くのも無理はない。

彼らを阻むのは、先が見えない壁と武家屋敷のような立派な門。

一般人の彼らには到底縁のないその巨大な建物に、みんなゴクリと喉を鳴らした。



「普通拉致ったらビルとか倉庫とかにいるんじゃねぇのかよ」

「んー、どう見ても家だね、これは」

「……侑真、どうすんだよ」



何となく肌で感じ取っていた。この家が普通の家ではないことを。


それでも侑真は引かなかった。
否、引けなかった。



「俺が行く」



あやのがここにいると分かっている以上、引くことなど出来なかった。


意を決してインターフォンを押す侑真。

その指先が震えていたことを後ろに控えている幹部たちは知らない。






『────はい。どちら様でしょうか』