「あやの……!」
涙で霞んだリョウが、私を呼びながら駆け寄ってくる。
「リョウ……」
リョウはあまり感情を表には出さない。
笑うときは少し口角を上げるだけだし、機嫌が悪くなったら無表情で口を閉じるだけ。
怒らせたことはなかったから怒ったらどんな顔をするのか知らないけれど、きっと機嫌悪くなったときと同じで無口になるだけだろう。
そんな感情を表に出さないリョウが、見たことない表情で私に駆け寄ってくる。
焦っているような、怒っているような、
どちらとも取れる表情で。
「リョ────」
すぐ目の前に来たかと思ったら、腕を思いきり引っ張られた。
そして、立ち上がった勢いのまま強く抱きしめられる。
身長差のせいか覆いかぶさるように抱きしめられ、リョウの腕によって周囲の音が遮断されてしまう。
けれど、確かに届いた。
────無事で良かった
そう言った、リョウの小さな声が。


