「っ、」
帰ろう。
早く一人になりたい。
零れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら立ち上がろうとしたとき、
……なに?
急に周囲が騒がしくなった。
それは彼女が去っていった方からで。
座ったままもう一度顔を上げれば、目の前にいる黒スーツの男の人たちがなぜか慌てふためいていた。
その真ん中にいる彼女も例外ではない。
何かあったのだろうか……
そう思ったのとほぼ同時だった。
「…………え?」
黒スーツの人垣が左右に割れ、その人垣の間から現れたのは、今一番会いたくない人。
「リョウ────」
顔を見た瞬間、
自分の意思に反して涙がポロッと零れ落ちた。


