「物分りが良くて助かるわ」
「……」
「最後にいい事教えてあげる」
いい、事……?
この流れで“いい事”なんて、ありえない。絶対に嘘だ。
嫌な予感がする……
「さっきアナタが会った着物姿の男性いるでしょう?」
着物姿の男性?
それって、さっき会ったあの威圧感たっぷりの人?
「あの方はリョウのお父様よ」
………え?
あの人が、リョウのお父さん……?
そう言われてさっき会ったばかりの男性の顔を思い浮かべるけれど、思い出せるのは着物姿と威圧感が恐ろしかったことぐらいで、顔は全然思い出せない。
あの時は怖すぎてまともに顔を見ることが出来なかった。どちらかと言えば、従えていた男性の顔の方が覚えている。


