キミを奪いたい




────言える。


とは安易に言えなかった。


知識が浅い私でも、“極道”という世界が私たち一般家庭の世界とは違うと知っているから。



そう。

私たちとはあまりにも違いすぎるんだ。


この人たちが生きる世界は────






「……言えないみたいね。

これで分かったでしょう?誰がリョウの傍にいるべきなのか。

誰がリョウの傍から離れるべきなのか」







「……」


何も言えなかった。
何を言えばいいのか分からなかった。



分かるのは、“好き”だけじゃどうにもならない世界だってこと。


“極道”の世界は私が思ってるほど甘い世界じゃない。生半可な覚悟じゃ踏み込んではいけない世界。




私には、その世界に踏み込んでいけるほどの覚悟は………ない。


だから、何も言い返すことが出来なかった。