「ほらほら、こっちへおいで。何もしませんから」
ぜ、絶対うそ!!
その笑顔には騙されないんだから!
猫を呼ぶように中腰になり、私を手招きする男性。
さっきの発言がなかったらすぐにでも助けを求めていたけれど、あれを聞いた後では助けを求めるどころか警戒心すら解けない。
とりあえず、威嚇をする勇気はないから距離を取ることにした。
「────ホントいいね、君。俺のS心を擽る」
ひぇ……っ!
ニヤリと微笑まれて、またもや身震いが。
これは本当に逃げないといけないかもしれない。
そう思った時、
「カスミ、いい加減にしろ」
その声が響いた瞬間、周りの空気が一気に重くなった気がした。
ピリピリとチリつく空気にまたしても息苦しくなる。
原因は考えるまでもなく、この危ない人の背後にいる男性だ。


