キミを奪いたい






「───見たことない顔ですね」






ビクッと体が揺れた。


不意に投げかけられたその言葉は、目の前の男性からではなく、その人の背後から現れた別の男性からで。

その人を見た瞬間、少しだけ恐怖心が和らいだ気がした。


それはきっと、さっきの人とは違い、この人が穏やかな表情をしていたから。


それでも完全に恐怖心が消えたわけではなく、自然と距離を取ってしまう。






「……ふっ。そんな怯えないでくれませんか?」

「っ、」

「いじめたくなるじゃないですか」

「…………え?」





えっ!?い、今、いじめたくなるって言った!?

聞き間違いなんかじゃないよね!?確かに言ったよね!?



虫も殺さないような穏やかな笑顔でそう言われたものだから、一瞬聞き間違いかと思った。


だけど……



「驚いた顔もゾクゾクするほど可愛らしいですね」



どうやら聞き間違いじゃなかったらしい。

さっきとは違う意味の恐怖心に襲われて、サーッと顔が青ざめる。



こ、この人危険だ……!

今すぐ逃げた方がいい!