キミを奪いたい



障子半分ぐらい開けたところで一旦止め、そこからそろっと顔を出して左右を確認する。



……行けそう?



人の姿もないし、話し声も聞こえない。



これはもう、行くしかない!



再度こぶしを強く握りしめ、勘で左方向へと歩みを進める。


聞き耳を立てながら、なるべく足音立てないように忍び足で歩き、時々背後も気にしながら先に進んだ。


けれど、前後ばかり気にしていて障子側は全く気にしていなくて。



「ひゃっ!?」



その存在を思い出したのは、ちょうど真横で障子が左右に開いた後だった。





「……」

「……っ、」




驚いた。


────と同時に身震いがした。



見つかってしまったという焦りをも凌駕する圧倒的な威圧感。

それは、息継ぎすらも忘れてしまうほどで。


声を発するどころか、恐怖で手足の感覚すら消え失せてしまった。



今言えることがあるとすれば、それは、今すぐここから立ち去りたいということだけ。


それほど目の前に立っている人が怖くて怖くて仕方なくて。


どうして部屋から出てしまったのだろうと後悔した。