モヤモヤを抱えたままリョウに向き直り、持っていたコットンをそっと口元へと近付ける。
「……」
「……」
手当てをしてる間、リョウからの視線を感じていたけど目が合うことはなかった。
と言うよりも、私がリョウの目を見なかった。
リョウを見ると、その向こうにいる女の子たちまで透けて見えてしまうから。
リョウが女の子と仲良くしてるところなんて想像したくない。
「……終わった、よ」
手当て出来るところは全てした。
あとは仲間を呼んでもらって、お別れするだけ。
「じゃあ私、帰るね」
コットンや消毒液を鞄に適当に突っ込んで、顔も見ずに立ち上がる。
そしてそのまま背を向けて去ろうとしたとき、
「待てよ」
リョウに呼び止められた。
その呼び止めに馬鹿正直に立ち止まってしまった私。
けれど、振り返る勇気はなくて。
そんな私を見抜いたのか、背後でリョウが立ち上がる気配がした。
次の瞬間、後ろから抱きしめられて。
「────アイツらから奪ってやりてぇ」
切なげに絞れ出されたその声に、鼓膜を揺さぶられた。


