キミを奪いたい




「………え?」


至近距離でなければ聞こえないぐらいの小さな声。

けれど、弱々しいとかじゃなくて、どちらかと言うと不満げというか、少し拗ねてるというか。

そんな口調。


っていうか、付き合ってるって…………あ。


心当たりがあった。
リョウが聞いてるのは、多分なっちゃんのことだ。


ってことはやっぱり、私となっちゃんが付き合ってるって噂、リョウの耳にも入ってたんだ。



「つ、付き合ってない、よ……?」



……もしかして、気にしてくれてたりする?

じゃなきゃ聞いてこないよね……?


リョウとの関係はなんの変化もない。

だから、期待しても無駄ってことは分かっている。

けど、私はまだリョウのことが好きだから。
好きな人が自分のことを気にしてくれてるってだけで嬉しい。



「付き合ってねーならなんで噂になってんだよ」

「そ、それは……分からない」

「あ?」