キミを奪いたい



「────足りねぇ」



乱れた前髪の隙間から覗く、欲に濡れた瞳。

その瞳に見つめられるだけでありえないぐらい鼓動が高鳴って。

まるで離れていた期間を埋めるかのように互いを求め合う。



「……は……っ」


そしてそれは次第に変化していき、唇の隙間から少しずつ吐息が洩れ始めた。

さっきの奪い尽くすような激しいキスとは違い、まるで唇の感触を確かめるように優しくついばんでくるリョウ。

それがくすぐったくて、思わず笑みが零れてしまう。



「ずいぶんと余裕だな」

「……」


余裕なんて、そんなものあるわけない。

ただ、クセって直んないんだなって思って笑ってしまっただけ。

リョウは気づいてるか知らないけれど、キスすると最後は決まってついばむようなキスをする。

それが久しぶりだったから、すごく懐かしく思えて笑ってしまったんだ。






「───来ると思わなかった」

「そ、れは……ずっと待ってるって言ったから」



冷静になんて考えられなかった。

本当は来ちゃいけないってわかってたけど、どうしても無視できなかった。

あんな風に電話切られてしまったら、気になってじっとしてなんかいられない。