キミを奪いたい




「……リョウ、とりあえず離して?」


こんなにも強く抱きしめたら、傷が痛むはずだ。早く離れて手当てしないと。


「リョウ──」


離れようとリョウの服を掴んだけど、私が押すよりも先に身体が離され、その後また覆い被されてしまう。

けれど、さっきと違うのは、抱きしめていた手が移動して私の両頬を覆っていること。


────そして、リョウとキスをしていること。





「ん……」


口内に広がる血の味。
自分が痛いわけでもないのに思わず顔をしかめてしまう。


……って、ちょっと待って。もしかしてリョウ、お酒飲んでる?


血の味と同じぐらい口内に広がるお酒の香りに、ようやく気になっていた謎が解けた気がした。


……そっか。ここまで大怪我したのは、酔って不調だったからなんだ。


────そして、私に電話してきたのも。

それなら全部説明がつく。