繁華街の端と言っても繁華街は繁華街。
当然、目的地までは何通りもの道筋がある。
……どうしよう、どっちへ行った方がいいんだろう。
出来れば路地裏には行きたくない。
けど、追われている身であるリョウは人気のない路地裏を通ってくる可能性の方が高い。
……こっちへ行こう。
路地裏へ行くことを決めた私は、周囲を見渡しながら一歩足を踏み出した。
と、そのとき。
「っ、……えっ?」
突然背後から腕を引かれて、身体が半回転した。
かと思ったら何かに受け止められて、そのまま覆い被さるように強く抱きしめられる。
「っ、リョウ、苦し……」
抱きしめてるのがリョウだと気づいたのは、息苦しさで空気を思いきり吸い込んだとき。
……私が好きな、リョウの香水の香りだ。
その香りを認識した瞬間、恐怖心は跡形もなく消え失せていた。


