キミを奪いたい

***



「……っ、はぁ……っ、はぁ、」



いない……?



タクシーを降り、無我夢中で走った末、初めて出逢った場所へと辿り着いた私。

けれど、リョウの姿はどこにもなく、人影すら見当たらない。


ここからさっきリョウと会った場所までは歩いて5分ほど。だから、時間的に私よりも先に到着していなければおかしい。


もしかして、ここまで来られなかったとか……



その可能性は十分にありえる。

だって、一方的に電話切られたのもリョウが誰かに見つかったから。

息切れするほどダメージを受けていたリョウだから、もしかしたら力尽きてどこかで倒れているかもしれない。


探さなきゃ……!



ぎゅっと拳を握りしめ、さっき会った場所へと走り出す。


今いるこの場所は繁華街の端にあたり、どちらかと言えばオフィス街と呼ぶ方がしっくりくる。

だから、退社後のこの時間帯は人の行き交いが少ない。