キミを奪いたい




行ってみて、仲間が来ていたら会わずにそのまま帰ろう。


そう決めた私は、緋月の姫だとバレないようにリンちゃんから貸りたウィッグを手に取り、髪の毛をまとめたあと素早くそれを被った。


こんなことならお風呂に入らなければよかった……


あのメイクなら緋月の姫だとバレなかったのに。


今さら後悔しても仕方ない。

こうなったら、変装の定番とも言えるメガネをかけるしかないよね。


そう思った私は、パジャマからラフな格好に着替え、唯一持っていた伊達メガネをかけた。


そして、空のリュックにスマホと財布、救急箱の中から消毒液と包帯、その他使えそうな物を適当に詰めていき、最後に冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して乱暴に突っ込んだ。


電話を切られてから家を出るまで約5分。

家から繁華街までタクシーで行っても7~8分はかかる。



「早く行かなきゃ……!!」



神様、お願いします。

どうかこれ以上リョウに怪我させないで下さい。



そう切に願いながら私は家を飛び出した。