キミを奪いたい



「……もし、もし?」

『……』



……あれ?


意を決して言葉を発したのに、相手からの応答がなくて。


もしかして間に合わなかった……?


そう思って耳からスマホを離し、画面を確認する。

けれど、画面にはちゃんと通話中と表示されていて。



どういうこと……?


もう一度耳にあて、おそるおそる言葉を発してみた。




「あの、もしもし?」

『───ハッ、出んのかよ』

「っ、」



乾いた笑い声が鼓膜に響いて、思わず息を呑んだ。



「……リョウ……?」


聞こえた声はリョウとは思えないほど弱々しい声で。

少し吐息混じりで疲れきっているように感じる。



……もしかして、今まで喧嘩してたの?


時計を見れば、リョウと会ったあのときから一時間以上は経っていた。

あのときにいた男たちは五人だったから、今まで喧嘩するなんてことはありえないのに。


……まさか、あれからまた人数が増えたの?