キミを奪いたい



家に帰ると誰もいなかった。

そう言えばお兄ちゃん、今日は陽沙さんの家にお泊まりだって言ってたっけ。

お母さんは夜勤だし、お父さんは出張。


今日は一人かぁ……


ちょうど良かったかもしれない。

今は一人になりたい気分だったから。



「……お風呂に入ろう」


鏡に映る自分が何だか見慣れなさすぎて落ち着かなかったから、先にお風呂に入ることにした。


歩きすぎてだるい足を念入りにマッサージし、ゆっくりと湯船に浸かる。

そして、数十分かけてお風呂から出たあと、ドレッサーで髪の毛を乾かし始めた。





「……電話?」


大体乾かし終えたとき、鏡台に置いていたスマホが震えているのに気がついた。


リンちゃんか妃奈ちゃんかな?

さっき連絡するって言ってたし。


そう思いながら画面に視線を落とすと、




「…………え?リョウ……?」



画面に表示されていたのは思ってた人物からではなく、さっき会ったばかりのリョウからだった。