キミを奪いたい




一変した声色。

それを捉えた瞬間、ゾワッと全身が総毛立った。


私でもこんなにも身震いしているのに、殺気を向けられた本人がビビらないわけがなく、男の表情にも焦りが浮かんでいる。


「クソが!!」


けれど、引くに引けなくなったのか、無謀にも拳を振り上げてリンちゃんに突っ込んできた。



『だからそれが雑魚なんだって。……っていうか』



次の瞬間、心底面倒くさそうにそう吐き捨てたリンちゃんが目の前から消えていた。


『クソはお前だっつーの!』


かと思ったら、突っ込んできた男が横に吹っ飛んで、そのまま動かなくなってしまう。



すごい……。


開いた口が塞がらないとはまさにこの事だった。


だって、本当に一瞬だった。

男を迎え撃つのではなく、自分から突っ込んで男の横腹に蹴りを入れたリンちゃん。


リズムを崩された男は防御する暇もなく蹴り飛ばされ、立つことすらままならずにいる。

とてもじゃないけど女の子の蹴りとは思えない。