キミを奪いたい




────殴られる。


そう覚悟して目をつむったとき、突然身体全体が何かに覆われた。

かと思うと、そのまま半回転して停止する。



「…………え?」


ほんの一瞬の出来事に何がどうなったのか理解出来なくて。




『───いきなり女の子に殴りかかるとかクソだな』



やっと状況を飲み込むことが出来たのは、視界にリンちゃんの横顔を捉えたときだった。



「リンちゃ───」

『危ないから後ろに隠れてて』



男装用の声は聞き慣れているはずなのに、いつもより低いと感じるのはそれだけ緊迫した状況だということなんだろうか。



「……テメェ、よくもやりやがったな」



私を背中に隠して、殴りかかってきた男たちと対峙するリンちゃん。


今気づいたけれど、私を殴ろうとしたらしい男が顔を歪めながらお腹を押さえていた。

どうやらリンちゃんに殴られたか蹴られたかしたらしい。





『……ハッ。ヤッバ。久しぶりにそんな雑魚セリフ聞いたんだけど』

「あぁ"?」

『……なんだよ。また蹴られたいのか?』