キミを奪いたい



薄暗い路地裏で、うずくまって呻いている男の背中を踏みつけているリョウ。


一瞬、見間違いかと思った。


月の光に照らされた彼は、背筋が凍りそうなほど冷酷な瞳で男を見下ろしていて。

私は初めてリョウに対して恐怖心を抱いた。


こんな荒んだ目をしたリョウ、見たことない。






「あやのちゃん、早く行こう!」


ボーッとしている私の腕を、リンちゃんが思いきり引っ張る。


けれど、そのタイミングが悪くて、前から来ていた人に気づかず思いきりぶつかってしまった。



「ってぇな!!」

「っ、」



リンちゃんが引っ張ってくれてたおかげで倒れることはなかったけど、少しよろけてしまった私は何とか体勢を整えようと足を踏ん張った。


とりあえず謝らなきゃと顔を上げたとき、視界に飛び込んできたのは黒い影。


それが何なのか瞬時に理解出来たけど、喧嘩なんかしたこともない私には咄嗟に避ける反射神経もなく。

当然、攻撃することもできない。