「あやの、行こう」
「な、なっちゃん、あの、」
そう言いながらリョウを見たのは、本当に無意識だった。
それに気づいたなっちゃんが、半ば無理矢理私の肩を抱き寄せ、そっと顔を寄せてきた。
「あーちゃん、早く行かなきゃ」
────侑真に怒られるよ。
そう言われてしまえば頷くしかなくて。
その後、私は一度もリョウの様子を窺えないまま病院を後にした。
私は知らなかった。
顔を寄せたとき、なっちゃんがリョウを睨みつけながら意味深な笑みを浮かべていたことも。
それを見たリョウが目を細め、病院から出ていく私となっちゃんを最後まで見ていたことも。
私は、知らなかった。


