キミを奪いたい







「ここで、いいよ」



正面玄関手前でそうリョウに投げかける。


最後までリョウは隣に並んでくれることはなく、私の方を見てくれさえもしなかった。


それを哀しいと思う資格なんて私にはない。

送ってくれただけ良かったと思わなきゃ。






「送ってくれてありがとう」


失礼だって分かってるけど、私にはリョウの目を見て伝える勇気なんてなかった。

ただリョウの足元だけを見ながらそう伝えて、軽く頭を下げる。




「……」


当然、リョウから返事が返ってくるわけはなく。


一瞬だけ目を閉じてリョウの横を通り過ぎようと足を踏み出した、そのとき──




「どこか悪いのか」



通り過ぎようとした瞬間、頭上からその声が落ちてきて、



「…………え?」



思わずその場に足を止めてしまった。