キミを奪いたい



「……」


追いついたものの、さすがに以前のように話しかけるのはためらわれて。

とりあえず、リョウの数歩後ろを小走りでついていく。


すると、なんとなくスピードが遅くなった気がして、どうしたんだろうと首を傾げながらリョウを見上げた。


けれど、リョウは変わらず前だけを見て歩いていて──



……もしかして、私が走ってるのを見てスピードを落としてくれた?



ふと、そんなことを思った。


なぜなら、付き合ってたころにも同じようなことがあったのを思い出したから。


たしか、あのときはスピードを落とすだけじゃなく、手を引いて隣に並ばせてくれたっけ。


そんな昔のことじゃないのに、もうずいぶんと前のことのように感じる。



あの頃は、ずっとこんな日が続いていくのだと思っていた。

こんな風に後ろを歩かなきゃいけない関係になるなんて思ってもいなかった。