「余裕……は正直ないですね」
「……だろうな。俺の耳に入ってきてるぐらいだから結構ヤバいんじゃないの?」
「何言ってんスか。怜乃さんほど地獄耳の人はいないっスよ」
「瑠衣、お前なかなか言うようになったね」
瑠衣の笑顔が可愛く思えるぐらい真っ黒な笑顔で瑠衣の頭をグリグリするお兄ちゃん。
いつもならそれを見てスッキリする私だけど、今はZeusと緋月のことで頭がいっぱいで、
ただ二人の様子を見ていることしか出来なかった。
──脳裏に浮かんでいるのは、颯太が駆け込んできた“あの時”のこと。
雷神にやられた緋月のメンバー。
それに絡んでいるかもしれないZeus。
そして、あの光景が───
BARで会ったリョウの最後の姿が、一番脳裏に強く焼き付いていた。


