「な、なんだよリョウ。ちょっとふざけてただけじゃん。そんな怒んなくても───」
「離れろ」
リョウの顔を見ていないからどんな顔をしてるのかは分からないけれど、顔を見ていなくてもリョウが怒っているのは分かる。
CLUB特有の爆音を消し去ってしまうほどの威圧感のある声。
リョウのそんな声を聞いたのは初めてで、私に向けられた訳じゃないのに震えが止まらない。
────もし私だとバレてしまったら、一体どんな目で見られるのだろう。
「分かったよ。離れればいーんだろ」
拗ねた口調でそう言った“イズル”くんは、渋々私を離してくれた。
自由になった私はもちろんリョウの方を向けるはずもなく、中途半端な位置で成り行きを見守ることしか出来ない。


