「っ、やだ……っ!!」
その温もりが何なのかすぐに気づいた私は、リョウの存在なんかすっかり忘れ、思いっきり振り返って“イズル”くんを突き飛ばした。
いや、正確には突き飛ばしたつもりだった。
けど実際は少し距離が空いただけで、完全に腕の中から抜け出せた訳ではない。
「離してっ!」
「そんな照れてなくていいじゃん」
「っ」
逃げようとすればするほど執拗にかまわれて。
けど、だからといって逃げないなんて選択は今の私にはなかった。
どうしても触られるのが嫌だった。
“ナギサ”くんの前だけならまだしも、リョウの前でこんなことをされるのはどうしても耐えられなかった。
たとえ顔が見えてなかったとしても、
私だって気付
づかれてなかったとしても、
それでもリョウにこんなところを見られるのは嫌だった。
「イズ、お前───」
「イズル」
あきれ混じりの“ナギサ”くんの言葉をさえぎったのは、まぎれもなくリョウの声で。
それは、散々私を茶化していた“イズル”くんを一瞬にして真顔に戻してしまうほど冷めきった声色だった。


