今まで色々な人に名前を呼ばれてもこんなにも心が高鳴るなんてことなかった。
こんなにも嬉しいと思ったことなんてなかった。
なんで彼にだけこんな……。
「あやの」
「は、はいっ」
「連絡先教えろ」
「えっ?」
れ、連絡先?
「お前のこと気に入った。また逢いてぇ」
「っ、」
「お前は?」
「え?」
「俺と逢いたくねぇ?」
「あ、あたしは……」
「あぁ」
「……逢い、たい」
────また、アナタに逢いたい。
深くなんて考えなかった。
自分が暴走族の姫だということも忘れて、ただ自分の中に湧き上がる感情を肯定した。
また、彼に逢いたい。
心の中にあるのはただそれだけだった。


