「っ、」
どんなにここが爆音で満ちていたとしても、この声だけは聞き間違えないと断言できる。
だってこの声は────私の大好きな人の声だから。
「────イズル、“ソレ”なんだよ」
リョウが背後にいると知っているせいか、さっきよりもより正確に届いた低音ボイス。
その低音で紡がれた“ソレ”というのは、間違いなく私のことで。
「っ」
まさか二言目にして私のことを問われるなんて思ってもいなかったから、分かりやすく動揺してしまった。
そんな私を、返事するよりも前にポンポンと肩を叩いて落ち着かせてくれる“イズル”くん。
強引で遊び人っぽく見えるけど、こういう優しさがあるから女の子がいっぱい寄ってくるんだろう。
「あー、わりーわりー、集まるの忘れてた訳じゃねーんだけどさ。途中でイイコ拾っちゃって」
「……イイコ?」
その一言で再び背中に視線が突き刺さったのを感じた。
まだ私だと知られていないのにこの鋭い視線。もし私だと知られてしまったら、一体どんな視線を向けられるんだろう。
考えただけで心臓がドクドクと不穏な音を立てる。


