キミを奪いたい




ドキドキと高鳴る心臓。


見つめられながらそんなことを言われたら、心臓が高鳴るのは仕方ないことだと思う。


もう、トクトクトクなんてそんな可愛いらしいものじゃない。


この心臓の音は本当に自分のもの?


脳天にまで響いている自分の心臓の音に、次第に息苦しささえ感じてきた。





「なぁ」

「は、はいっ!」



投げかけられた言葉にビクッと過剰に反応する私。

そんな私を見てフッと口角を上げた彼は、あごに添えていた手を頬へとすべらせた。




「あの、」

「名前は?」

「え?」

「お前の名前」

「……あやの、です」

「あやの……か」

「っ」




……あぁ、もう、どうしよう。

名前を呼ばれただけなのに、それだけでこんなにも胸が苦しくなるなんて……。