なっちゃん、こっちへおいで。




今が、彼女を抱きしめる時だと思った。


感情のままに生きる不安定な彼女を。


危なっかしくて放って置けない彼女を。


刃物のような強さと、ガラスのような弱さを持ち合わせた彼女を。




僕が、必要とされているのだ。


今の彼女に必要なのは


彼女が助けを求めているのは


僕。僕しかいない。






美術準備室に着き、


ドアの取っ手に手をかけたところで


高揚した心が一気に冷めきったのは


単に、外が寒かったからではない。




「ナツキ。」